イビツウタ
二次創作リハビリ帳。更新不定期。
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「ザハーク殿って、きれいな手をしてますよねぇ」
骨のしっかりとした長い指、整ったカーブを描く爪、白いてのひら。彼を形作る一部。
改めてきれいだと、ミアキスは触れながら思う。
何時間見ていても、飽きない。
「…ミアキス殿」
「はぁい?」
「いい加減、手を離してくれないか」
「もう少しだけ駄目ですかぁ?」
女王騎士の控え室であるこの部屋には今は2人しかいない。
普段リムスレーアに付きっきりのミアキスがこの部屋で待機しているのは珍しいことだった。
ザハークの抗議の声をいなしてミアキスは自分よりも大きなその手を両手で挟み込む。
ザハークの低めの体温がミアキスの掌によって溶かされていく。
ミアキスの行動にため息を吐きながらザハークは後数分だけ、と念を押した。
ザハークは空いた片手で器用に紙を捲っていく。
紙を捲る度に起こる空気を切る音と呼吸音だけが部屋を支配する。
ミアキスは書類に没頭するザハークをみつめる。
灰色の髪も紫の瞳も冷たさを隠さない。
そこがきれいだと、そんなことをぼんやりと考えていたら視線に耐え切れずに視線を向けたザハークと目が合った。
すかさずミアキスは口を開く。
「まだいいじゃないですかぁ」
「違う。楽しいのか?その行動は」
「…満足、するんでしょぉかぁ?」
「何故私に聞くんだ?」
「ザハーク殿って、独特なきれいさがあるんですよ」
「…ミアキス殿」
「はぁい」
「貴殿はそういったことを軽々しく口にするが、相手を選ぶべきだと思うぞ」
「そうですかぁ?」
「カイル殿にでもいってやれ。きっと喜ばれる」
「駄目ですよ。カイル殿は整った顔してますけどぉ」
「けど?」
「全然違うんです」
あのひとは優しいじゃないですか。
頬を膨らませてミアキスは言う。それでも離されない手をザハークは見つめる。
熱に侵食されすでに自分のものかミアキスのものかわからなくなり始めたそれは、じんわりと。
(060916 幻水5/ミアキスとザハーク)
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