イビツウタ
二次創作リハビリ帳。更新不定期。
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「どうしてみんな僕らについてきてくれるのかな」
「・・・俺の考えでいいならば」
「うん」
「目的と手段の一致だ」
「じゃあどうしてこんなガキをリーダーとして認めているのかな」
「・・・ある意味での人望、か?」
ざあざあと雨が降る。大降りといえるそれは石造りの建物に叩きついて撥ねる。そんな中、屋上にふたつの影。
「いっそこの雨にすべて洗い流されてしまえばいいのに」
「珍しいな。お前にしてはずいぶんと悲観的だ。お前の姉が訊いたらどう思うだろうな」
「あはは、ナナミに聞かれてたらただじゃすまないね。確かに全部流したいと思えるほどマイナス思考にはなれないな」
「そうか」
「いろいろあるよね。小さいころの思い出とか、キャロの町を追い出されてからあった出会い、同盟軍のこと、ナナミとか、ジョウイの・・・」
そこまで言って口ごもった小さな軍主の頭をクライブが撫でる。雨水を吸った軍主の髪は普段の栗色よりも濃い大地のいろをしていた。
暗い色のローブから覗くクライブの褪せた金色も水に濡れて重たそうに視界をふさぐ。
雨は止む気配なく降り続き、石床の上を水溜まりへと変えていく。
「まだ、会議終わらないかな」
「おそらくまだ続いていると思うが…お前は会議に出なくていいのか?」
「うん。本当は出なきゃいけないのかもしれないけど、探しにこないし大丈夫なんじゃないかな。難しい話し合いはシュウとかアップルやクラウスに任せるよ」
「そうか」
「うん」
ざあざあと雨が降る
(僕は雨がすべてを流してくれることを祈るのだろう)
幻水2/2主とクライブ